ドイツ人の当たり前、朝食時のマナーとは?
日本でも朝食はパン派が多くなっている現代。忙しい朝は簡単に食べられるトーストという人が多いと思います。ドイツでもアメリカン・タイプのトーストを朝食にする人もいるのですが、昔からの定番はBrotchenと呼ばれるバターロール程度のサイズのパン。
もし、このサイズのパンが朝食に出たら、あなたはどう食べますか?

日本人だったら、多分、一口サイズにちぎって、バターなどを塗って食べるのが一般的だと思います。
テーブルマナーでも「西洋料理の場合、パンは一口サイズにちぎる」と教わりますよね。
が、このスタイルでドイツ人と朝食を食べると、恐らくガン見されるか、「そうじゃないよ、こうやるの!」と、パンを取られて、ドイツ式を見せられる可能性大。
では、ドイツ人はどのようにこのようなパンを食べるのでしょう?
用意するもの

このようなサイズのパンとナイフをまず、ご用意ください。ナイフはバターナイフではダメです、必ず食事用のものにしてください。
後はバターやマーガリン、ジャム、チーズやハム、お好きなものをテーブルにセットすればOK、主役となるドイツ人の方を朝食会場へお招きください。
ドイツ人は「平行」が好き?
パンとナイフのセットを前にドイツ人のほぼ100%が行うと思われる行動は
- パンを手で押さえ
- ナイフをパンの横の真ん中にセット
- ナイフをそのまま平行に動かし、パンを切っていく
そうすると、このようなハンバーガーのバンズの状態になります。

そして切った断面にバターやジャムなどを塗ったり、ハムやチーズなどを載せてオープンサンドのように食べるのです。
この平行切り、パンだけでなく、朝食のゆで卵でも行われることがあります。卵の上部4分の1程度のポイントにまず、「ガッ」と強めにナイフで一撃、殻が割れたら、そこからパンと同様に水平切り。
切断面から卵をスプーンで掬って食べるのです。卵の平行切り、試して頂くとお分りいただけるかと思うのですが、初心者には結構、難しい技です。
合理的かつエコを重んじるゲルマン民族?
どうしてこのような方式が用いられるようになったか、個人的に考察してみました。
- 食べる時間の短縮
- パンくず量の激減
一口サイズにちぎって、その度にバターを塗るよりも、一度、オープンサンド状態にしてしまえば、後は食べるだけ。食べる時間がかなり短縮されることでしょう。
ハンバーガーのバンズのように切る際にパンくずが出ますが、恐らく、一口サイズに毎回ちぎる場合よりもパンくずの出る量は少なくなるはず。さらにバンズ状態のパンにバターを塗った際にパンくずを上に振りかけて食べれば、廃棄されるパンくずはほぼ、ゼロに等しい状態。このように食べるドイツ人、実際にいるんです。
つまり、この平行切り方式の食べ方は合理的であり、さらにエコでもあると言えます。いかにもドイツ人らしい食べ方ということなのでしょうか。
ドイツの伝統的な夜ご飯、「カルテス・エッセン」。冷たい食事という意味ですが、大きなドイツパンを薄切りにしたものにハムやサラミ、チーズを載せるだけ、日本のお母さん達からしたらびっくり仰天な簡単ご飯。この夜ご飯用の薄切りパンを朝食に食べる人もいますが、ドイツのいわゆる伝統的な朝食スタイルはパン屋さんで買った出来立ての小さなパンがテーブルに並ぶというもの。食事にあまり関心がない人が多い、ドイツ人ですが、朝のスタートは買い置きではない、出来立てパンにこだわる人がかなりいます。
最近、朝食にトーストを選ぶ人がドイツで増えているのはきっと、焼きたてのトーストが出来立てパンの代替となり、水平切りの作業が要らないという、さらに進んだ合理性ということからなのか、と勝手に想像しています。
まとめ
どうでしたか?海外旅行の際、レストランの隣の席の人がパンを横に切り出したら、その人はドイツ人かもしれません。
以前、別のブログで「ドイツ人の見分け方」というタイトルで同様のことを書いたことがあるのですが、「ドイツ以外の国でもこの水平切りを行う国があるかも?」と、後で思ったため、今回、こちらではちょっと書き方を変えてみました。
国別、民族別のパンの食べ方、研究したら面白いかもしれませんね。